なにこのドキュメンタリー風なタイトル。
どこまで迫れるか分かりませんが、迫ってみます。
ポイント
この記事で解決できる悩み
・SQUARE(SQ)の強みをもっと知りたい
・スクエアが差別化できている理由を知りたい

最近話題の米国株についての疑問を解決できる記事を書いています。
ご参考までに、実際に私もSQの株を購入しています。
ってことで始めたいと思います。
もくじ
スクエアとは
スクエアは米国のフィンテック会社です。
事業の概略についてについては、下記のページをご覧頂きたいです。
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参考SQUAREって何の会社?ビットコイン銘柄なの?
スクエア・・・エニックスでもなければフュージョンのバンドでもないぜ。 この記事はこんな方におすすめ SQUAREについて知りたい人 話題の米国株について知りたい人 ってことで始めます。 もくじ SQU ...
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このページでは別角度から深堀りし、同社の事業優位性について迫りたいと思いますので、
まずは上記のページでご理解を深めて頂ければと思います。


スクエアの経済圏
スクエアは簡単に言えば「手数料のない囲い込みビジネス」です。
それにはまず、電子マネーが介在する Open-loop payment と Closed-loop payment という考え方があります。
オープンループ: 利便性が高い
オープンループというのは、各銀行同士が独立しているオープンな状態を指します。
「うちJCB無理なんです~~」なんてことはありますが
店舗は決済代行会社から与信を得られればカードでの決済が可能になり、カードを保有するどんな人からでも支払いを受けられます。


ただし間に何社も存在する分、それぞれの間には手数料が発生します。
加盟店さえあればどこでも使用可能。
手数料が発生する。
クローズドループ:少ない介在者
一方クローズドループは、チャージ式交通系ICカードや商品券を思い浮かべると分かりやすいかと思います。その範囲内でしか使用できず、代替不可(その店舗でしか使用できない)なものです。
クローズドループにも利点と欠点があります。
利点
前払い、キャッシュバックがある、そして介在者が少ない点です。
電子マネーのチャージでも、商品券でも、前払いしてますよね。
これはキャッシュフローの観点から発行会社に大きなメリットです。
次にユーザーにとってもいくらかのキャッシュバックがあるケースが多いです。
1000円分の購入で、1050円のポイント付与、などなど・・。
クレジットカードにもポイント還元がありますが、後から付与されるという点では少し異なります。
欠点
そしてデメリットですが、枠内でしか使用できないというデメリットがあります。


キャッシュフローが良い・キャッシュバックがある・介在者が少ない
対象外の店舗では使用できない
スクエアのループ
ではスクエアにおける構造はどちらでしょうか。
正解はクローズドループです。正確には大規模なクローズドループとでもいいましょうか。
スクエアの場合は入金した現金がスクエアポイント(仮)とかに変わるものではなく、お金の移動(電子マネー)のみです。

スクエアの決済管理アプリであるCashAppの使用方法を見てみましょう。
1.アプリをダウンロードし、アカウントを作成
2.銀行口座を入力する
3.チャージ(入金)する
4.電子マネー形式で送金する
スクエアはデビットカードも無料で作成します。つまり、銀行口座から直接引き出されます。
形態としては下の図と同じですよね。発行会社=スクエアです。
ただし、ポイントでの支払いではなく、ただただデータ上で現金が移動しているだけです。
ここまではLine Payや楽天Payと同じですが、スクエアの強さはこの先にあります。


垂直統合
スクエアはエコシステムと称して、めちゃめちゃ囲っています。
販売者を囲うSeller Ecosystemと、CashAppユーザーを囲うCash App Ecosystemです。
Seller Ecosystem
スクエアが囲う店舗周りについてですが、ハードウェアではPOSレジ、カードリーダー。
ソフトウェアではE-Commerceを始めたい店舗に向けて簡単にウェブサイトを作れるアプリ、給与支払い、従業員管理システム等があります。
ウェブサイトの部分ではSHOPIFYや日本のBASEが競合になりますね。スクエアは決済側からの勝負、ShopifyはE-commerceのシステム構築からの勝負です。
ただあまりにも簡単に関連するシステム(給与支払い等)を取り入れられるので、スクエアで統一する方が早いわけです。それに決済の優位性も伴います。
Cash App Ecosystem
Cash Appは貯蓄・投資・支払いが主な機能です。
それに加え、給与を給与日の二日前に受け取れるシステムや公共料金の支払い、個人間ローン等も追加。
加えてBoostというのは、キャッシュカードを利用したい加盟店を選択(VISAだのマスターだの)し、通常のクレカとは異なる10%レベルのディスカウントを受けて支払うことができます。
この仕組みの詳細はもちろん開示されておりませんが、考えられるのは①クローズドループだからこそできる中抜き(手数料)の不在②この部分を利益と考えていない(客寄せの部分で利益をあげるのは別の部分)等が挙げられます。
スクエアの未来
つまり、囲い込みの広さが異常なワケです。
Lineも投資ができたりと、その範囲を広げていますが、スクエアはお金の行方を管理しています。
つまり、膨大な量の消費動向です。
Cash Appで支払われたお金が次どこに流れるかを把握しているのです。
これって何かに似ていませんか?
そうです、ビットコインです。
ビットコインはブロックチェーン上で公開されている履歴を調べれば、追跡が可能であることが特徴の一つです。
おそらくこれがスクエアの創始者であるジャックドーシーがビットコインに大きく理解を示している理由の一つだと私は考えています。
また、スクエアが目指す未来の一つに即時入金があります。毎月25日を待たずして給料を受け取ることができるようになります。
これは低所得者層にとっては大きなメリットですし、実際スクエアが以前買収したデリバリーサービスCaviar(現在はDoor Dashが買収)の従業員は即時支払いを受けていました。
楽天は?
ここまで囲い込みがすぎると、楽天経済圏を思い浮かべる方もいるかと思いますが、
楽天は最近ゴールドカードの改悪など、結局キャッシュバックが財政を圧迫し始めていることが分かります。
スクエアはポイントでキャッシュバックしているわけではありません。
中抜き業者を減らし、利益率を高め、店舗とユーザーをシステムで囲うのです。
楽天 | スクエア | |
Seller側 | ECあり | ECなし |
User側 | ポイント還元 | ポイントなし |
楽天は『広場の提供』です。広場作ったから商売していいよ、というスタイル。
スクエアは『資材の提供』です。広場は勝手に作ってくれというスタイル。
収益率
この大規模クローズドループモデルは、クローズドの世界を広げる程メリットが出てきます。
下記の表はARK社が出している資料になります。
ポイント
横軸
店舗が支払いを受ける「Cash for Business」というアプリが、スクエア全体のGPV(Gross Processing Volume)に対してどれぐらいのシェアをもつかを示し、
縦軸
そのうちどれぐらいが利益となっているか、を示しています。
見事に右肩あがりで、これが示すところは
①店舗がスクエアのアプリでの支払いを受ける比率が高まっている(アクティブユーザーの増加)
②(手数料が他社に流れないから)利益率が高まっている(使用量に比例する)
ということを示しています。
店舗は取引ごとに2.75%の手数料を支払うのですが、その後スクエアが得るマージンが圧倒的にカード会社より高いということが分かります。
手数料なし囲い込み戦略が進んでいると言えるでしょう。
数字の出どころは以下です。
Q3のGPVが317億ドルに対して、Cash for Business は29億ドル
Cash App Business GPV was $2.9 billion, up 332% year over year.Cash App generated $81 million of transaction-based revenue during the third quarter of 2020, up 320% year over year. Growth was driven primarily by an increase in Cash for Business transactions.
Square's transaction margin is rising as closed-loop transactions take more share of GPV.
While this makes up a small part of Square today and Square/fintech co's make up small part of payments today, it offers a glimpse of the value of controlling both ends of the transaction. pic.twitter.com/yAEtD68RZq
— Maximilian Friedrich (@mfriedrichARK) January 13, 2021
決算は?
2020年Q4決算は2月21日を予定しています。
売り上げや利益等基本的な数字以外のポイントとしては以下にも注目です。
- Cash Appのアクティブユーザー(前回3,000万人、最近4,000万に迫っているという報道あり)
- Bitcoinから得られている利益(資産としてではなく、ユーザー取引から得られる利益)
ビットコインの下落に伴って下げているのが正しい下げなのかどうかという点において、実際の利益(相関性)がどれぐらいあるのかというところは見ないといけないと思います。
まとめ
ということで長くなりましたが本日のまとめです。
スクエアの成長戦略は圧倒的な囲い込みにある。
ユーザーが増えれば増える程、その利益も上昇している。
SQUARE サイト